今、日本で人気沸騰中のSPGアメックス(AMEX)カード。この大人気のSPGアメックスは、スターウッドやアメックスの本場であるアメリカにももちろん存在します。
米国版SPGアメックスの券面は本記事のトップ画像にある通り、「SPG Purple(SPGパープル)」と呼ばれる落ち着いた深い紫を基調としたデザインになっており、日本のSPGアメックスとは装いがかなり異なります。
どちらの券面デザインも素敵ですが、果てして異なるのは券面だけなのでしょうか。そこで本記事では米国と日本のSPGアメックスの徹底比較を行ってみました。日米のSPGアメックスを比較した結果、あらためて分かったこととは何でしょうか?ぜひ本記事を最後までお楽しみください。
徹底比較!日本と米国のSPGアメックス
米国アメックスのSPGアメックス紹介サイトを開くと、まず目につくのがメインバナーの下にある「Earn up to 35,000 bonus Starpoints」の文言です。これは期間限定で35,000スターポイント獲得できますよ!という新規入会者向けのプロモーションですね。このようなプロモーションはもちろん米国でも行われております。しかし35,000スターポイントも入会ボーナスでもらえるなんてすごいですね!
これはひょっとして米国のSPGアメックスが圧勝なのでしょうか?
日本と米国のSPGアメックスについて、本質的な違いがどこにあるのかを明確にするため、年会費や入会ボーナス、そして主要ベネフィットをピックアップして比較表を作成しました。以下をご覧ください。
日本のSPGアメックスカード | 米国のSPGアメックスカード | |
---|---|---|
年会費 | 税別31,000円 | $95(初年度無料) |
入会ボーナスポイント | 最大39,000ポイント(ご紹介プログラムで紹介を受けて入会した場合) | 最大75,000ポイント |
ポイント獲得(通常の利用) | 100円につき3ポイント | $1につき2ポイント |
ポイント獲得(マリオットでの利用) | 100円につき6スターポイント | $1につき6ポイント |
エリート会員 | ゴールドエリート獲得 | シルバーエリート獲得(年間3.5万ドルでゴールドエリート獲得) |
無料宿泊特典 | カード継続時に付与(50,000ポイント相当) | カード継続時に付与(35,000ポイント相当) |
エリート資格取得用クレジット | カード継続時に5泊分の実績を付与 | カード継続時に15泊分の実績を付与 |
日米SPGアメックスの比較解説
年会費と入会ボーナスポイントは米国の圧勝!
比較して圧勝している側を太い赤字にしてみました。年会費については$95、日本円で1万円ちょっとということで、日本の31,000円(税別)から比べると1/3です。しかも初年度無料ということで、これはもう米国圧勝ですね。
続いて入会ボーナスポイントを見て行きましょう。
入会ボーナスポイントについては、日本は通常入会で10,000ポイント。ただしアメックスの「ご紹介プログラム」適用で17,000ポイントまで引き上げることができます。
アメックスのご紹介プログラム適用による入会方法は詳しい記事をご用意しておりますので、以下のリンクからご覧ください。どなたでも抜け漏れなく手続きができるように細部まで徹底的に解説したSPGアメックス入会ガイドです。
さて一方、米国では合計$5,000の利用により35,000ポイントものスターポイントが獲得できます。日本の10万円の利用で17,000ポイントなので利用金額は1/5で済みますが、それでも初年度年会費無料で$5,000の利用で35,000ポイントものスターポイントが獲得できるなんて、羨ましい限りです。
年会費と入会ボーナスポイントだけ見ると「アメリカのSPGアメックス、羨ましい〜」となってしまいますね。
でも米国SPGアメックスは本当に羨むべきクレジットカードなのでしょうか?さらに詳しく見て行きましょう。
SPG側で提供されるベネフィットに大差あり!
比較表をご覧いただくとお分かりの通り、実は日本と米国のSPGアメックスでは、SPG側で提供されるベネフィットに大きな差があるのです。日本のSPGアメックスでは以下3つのベネフィットが獲得できることが最大の特徴であり、人気が沸騰している要因になっております。そして米国版SPGアメックスではこれらのベネフィットは提供されません。
- 入会後無条件で即座にSPGゴールド会員資格獲得
- マリオットおよびリッツカールトンのゴールドエリート会員資格獲得(SPGとマリオットリワードとのリンクにより)
- カード継続時に無料宿泊特典獲得(SPGカテゴリー1〜6)
日本のSPGアメックスは入会するとすぐにSPG・マリオット・リッツカールトンの上級会員であるゴールド会員資格を獲得することができます。米国のSPGアメックスは1年間で$30,000のカード利用により12ヶ月間のSPGゴールド会員資格が獲得できます。$30,000は日本円で350万円に近い金額です。年間にそれほどカードを使わない人にとってはかなり高いハードルですね。
日本ではさらにカード継続時に無料宿泊特典が獲得できますが、この特典によりSPGカテゴリー1〜6までのホテルに無料宿泊することが可能です。例えばカテゴリー6の「セントレジスホテル大阪」のような高級ラグジュアリーホテルでもブラックアウト日(特典除外日)なしに無料で宿泊することができるのです。
セントレジスホテル大阪では安い時期でも1泊3万円前後、繁忙期では5万から8万を超える価格になりますので、SPGアメックスの継続で得られる無料宿泊特典は年会費を軽く回収できる大変お得なベネフィットであると言えます。
繰り返しになりますが、このSPG・マリオットのゴールド会員資格と無料宿泊特典がSPGアメックスの最大のメリットであり、この2大特典が付与されない米国版のSPGアメックスは日本版とはコンセプト的にも別物と考えたほうがいいのかもしれません。
米国の人がこの「異常なほど優遇された日本のSPGアメックス」を知ったら、きっと驚くのではないでしょうか。
もし私が米国人だったら?
米国のSPGアメックスは初年度年会費無料なのでとりあえず入会はするでしょう。SPGは大好きなので、頑張って$30,000を使ってSPGゴールド会員をゲットするかな?でも、そもそも日本のSPGアメックスが魅力的だからSPGが好きなわけですし、米国版SPGアメックスでSPGのファンになれるかどうかと言われると・・・微妙です。
しかしなぜ日本と米国でこれだけベネフィットの差があるのでしょうか。仮にアメックスとSPGが戦略的に日本市場を攻めているのだとすれば、米国では得ることができない日本ならではのこの美味しすぎるSPGアメックスの恩恵にはしっかりと乗っておきたいところです。
マリオットリワードにもクレジットカードがあった!
SPGとマリオットは切り離して語ることができません。2016年9月にマリオット・インターナショナルはスターウッドホテル&リゾートを買収しました。その結果、マリオットリワードとSPGという二つの国際高級ホテル会員システムはリンクできるようになり、会員資格のステータスマッチ(同等化)ができるようになったのです。つまりSPGアメックスを持っているだけで、マリオットリワードのゴールドエリート会員になれるわけです。この奇跡的な状況により、今まさしくSPGアメックスの人気が沸騰しているのです。
このマリオットリワード、実は米国では提携のクレジットカードが提供されております。カード名は「Marriott Rewards Premier Credit Card」、カードブランドはVISAで発行会社はJPモルガン・チェースです。券面は写真の通り、ブラック&ホワイトのシンプルさがとてもクールなかっこいいカードです。
日本のSPGアメックスカード | 米国のマリオットVISAカード | |
---|---|---|
年会費 | 税別31,000円 | $85 |
入会ボーナスポイント | 最大17,000スターポイント(紹介プログラムで紹介を受けて7,000スターポイント、3ヶ月以内に100,000円利用で10,000スターポイント獲得) | 最大80,000マリオットリワードポイント(入会後3ヶ月以内に$3,000利用により獲得) |
ポイント獲得(通常の利用) | 100円につき1スターポイント | $1につき1マリオットリワードポイント |
ポイント獲得(SPG/マリオットでの利用) | 100円につき2スターポイント | $1につき5マリオットリワードポイント |
SPGエリート会員 | SPGゴールド会員付与 | 無し |
マリオットエリート会員 | マリオットゴールドエリート会員付与(SPGゴールド会員とのリンクにより) | 1年間に$50,000以上のカード利用でマリオットゴールドエリート会員を付与 |
無料宿泊特典 | カード継続時に付与(SPGカテゴリー1〜6) | カード継続時に付与(マリオットカテゴリー1〜5) |
エリート資格取得用クレジット | カード継続時にSPGより2滞在分と5泊分の実績を付与 | カード継続時にマリオットより15泊分の実績を付与(これにより実質シルバーエリート付与になる) |
こちらの表でも優位性の高いほうを赤い字にしてみました。
マリオットVISAの年会費は$85と米国のSPGアメックスより$10ほど安くなっております。ただし初年度年会費無料ではありません。カード継続時は無料宿泊特典が獲得できますが、対象のホテルはマリオットカテゴリー1から5までになります。マリオットカテゴリー5のホテルは高いところで$150くらいなので、年会費$85を簡単に回収できるようです。ちなみに日本のマリオット系列ホテルはカテゴリー6以上なので全て対象外になります。
そんなマリオットVISAカードですが、やはり大きな差がついてしまうのはSPG・マリオットのゴールド会員資格が無条件で付与されない点です。米国マリオットVISAカードでは年間$50,000のカード利用でマリオットのゴールドエリート会員資格が提供されます。非常に高いハードルですね。カード利用時の提供ポイントが$1あたり1マリオットポイントとかなり残念な還元率なので、このカードで5万ドルも利用するのは相当無理があります。5万ドルで5万マリオットポイント獲得。スターポイントに交換すると僅か16,666ポイントにしかなりません。
またこのマリオットVISAは、カード継続時にマリオットより15泊分の実績が付与されるので、実質マリオットのシルバーエリートを得ることができるようです。でもマリオットのシルバーエリートは、ゴールドと比べるとかなり目劣りします。マリオットのゴールドエリートの最大メリットである無料の朝食やラウンジアクセスは、シルバーエリートには付いておりません。
一方、日本のSPGアメックスは入会してSPGとリンクするだけでマリオットゴールドエリート会員資格が獲得できます。やはりSPGアメックス活用の最大のポイントはマリオットのゴールドエリートによる宿泊なのではないかと思います。マリオットでのSPGアメックス活用の実体験レポートは以下の記事に詳しく書いてあります。
日米SPGアメックス比較で分かったこと
それでは日本と米国のSPGアメックス、さらにはマリオットVISAと比較した結論を申し上げます。
米国のSPGアメックスとマリオットVISAは確かに年会費は安く、日本のSPGアメックスの1/3です。しかし米国のSPGアメックスには、肝心の「ゴールド会員化」と「年会費を凌ぐカード継続時の無料宿泊特典」がついておりません。マリオットVISAには無料宿泊特典がついておりますが、マリオットカテゴリー5までということで、なんとか年会費を回収できるレベルです。
これら米国のカードと比較した結果言えることは、やはりSPG・マリオットのゴールド会員資格は簡単に手にすることができない高嶺の花であるとともに、それをSPGアメックスに入会するだけで獲得でき、さらに無料宿泊特典でカード継続時の年会費を簡単に回収できる日本は「明らかに優遇されている」ということです。費用対効果から見て明らかに日本のSPGアメックスの大きすぎるベネフィットは、SPGとアメックスの戦略に加え、マリオットによるSPG買収が重なった奇跡の産物ではないでしょうか。
日本のSPGアメックスの素晴らしいベネフィットはいつまで続くかわかりません。しかし今、この日本でSPGアメックスを手にできるという幸運を活かし、そのメリットを徹底的に美味しく享受すべきであるということが、あらためて分かったのでした。
まとめ
- 米国にもSPGアメックスカードがある。
- 米国のSPGアメックスは年会費が安く入会ボーナスポイントも日本の倍以上。
- 米国のSPGアメックスに入会しただけではSPG・マリオットのゴールド会員にはなれない。
- 米国のSPGアメックスにはカード継続時の無料宿泊特典がない。
- 米国にはマリオットリワードの提携のVISAカードがある。
- 米国マリオットVISAでも上級会員獲得は継続時のマリオットシルバーエリートのみ。
- 米国のSPGアメックスは年間$30,000以上、マリオットVISAは年間$50,000以上の利用実績でSPG・マリオットのゴールド会員が付与される。
- 日本のSPGアメックスは入会しただけで無条件にマリオットとSPGのゴールド会員が付与される。